第4話「帰り道」はどこですか?

学び

本記事は、筆者の実体験をもとに構成したフィクションです。登場する人物・会社名・団体名などは架空のものであり、実在の人物・企業・団体とは関係ありません。実際にあった出来事を分かりやすくお伝えするため、一部の内容や時系列、会話などを脚色しています。

【登場人物】

古川(ふるかわ):元SE。システムを「爆弾」と捉えるリアリスト。「己の役割に嘘をつかず、どんな面倒な作業も真摯に紐解く」という古風な流儀を胸に、日々技術と向き合う男。

ユイ:事務所の事務・広報担当。チョコミントを愛する現代っ子。効率重視のあまり、時々大きな落とし穴にハマる。

大沢(おおさわ):町工場の社長。社員思いで人情味あふれる一方、AIやDXなど最新技術が大好きで、勢いのまま導入を決めてしまうことも。失敗しても素直に反省し、社員の意見に耳を傾けられる“憎めない社長”

ビット&ピース :古川さんが運営するシステム会社。最新ITではなく、VB6で動く古いシステムや地域のPCトラブルを支える小さな会社です。20年前の仲間は時代の変化とともに去り、今は社長の古川さんと事務・広報担当のユイ、二人でこの事務所を守っています。

アナログ力を土台に、少しずつデジタル力を身につける物語


金曜日、午後6時。

株式会社ビット&ピース。

一週間の仕事が終わり、ユイは会社を出た。

夕暮れの商店街は、仕事帰りの人や買い物客で少しだけ賑やかになる。

コロッケ屋さんの匂い、八百屋のおじさんの声、そして遠くから漂う焼き鳥の香り。

「やっぱり金曜日っていいなぁ。」

<strong>ユイ</strong>
ユイ

やっと一週間終わった〜!今日は寄り道しないで帰ろっと♪

すると、一人の男性が声を掛けてきた。

「すみません、『帰り道』はどこですか?」

ユイは迷わず駅の方向を指さした。

ユイ
ユイ

駅ならこの道をまっすぐですよ!

男性は首を横に振る。

「いえ……焼き鳥屋さんの『帰り道』です。」

ユイはその場で固まった。

<strong>ユイ</strong>
ユイ

店の名前!?

地元に22年住んでいるのに、そんなお店は聞いたことがない。


ネットで調べれば分かる…はず?

ユイは慌ててスマホを取り出した。

「焼き鳥 帰り道」

しかし表示されたのは…。

  • 閉業したお店
  • 違う市のお店
  • 5年前のブログ記事

どれが本当なのか分からない。

<strong>ユイ</strong>
ユイ

全部バラバラじゃん…。ネットなのに…。

そのとき。

「お疲れさま。」

古川さんが仕事帰りに現れた。

<strong>古川</strong>
古川

困りごとかな?

事情を聞いた古川は、スマホを閉じた。

<strong>古川</strong>
古川

検索は便利だけど、『誰が書いた情報か』も大事なんだよ。」

<strong>ユイ</strong>
ユイ

じゃあ、どうやって探せばいいんですか?

<strong>古川</strong>
古川

交番へ行こう。

<strong>ユイ</strong>
ユイ

えっ!? 検索サイトじゃなくて交番!?

交番が教えてくれた住所

二人は商店街の交番へ入った。

警察官は古い商店街の台帳を開く。

警察官「焼き鳥『帰り道』ですね。」、「路地三丁目12番です。」

通行人は安心したように笑った。

通行人「ありがとうございます!」

ユイは思わず声を上げる。

<strong>ユイ</strong>
ユイ

店名だけで住所が分かった!

古川は商店街の地図を指差した。


DNSって、インターネットの交番なんだ

<strong>古川</strong>
古川

人は『帰り道』という名前を覚えるよね。

<strong>ユイ</strong>
ユイ

はい!

<strong>古川</strong>
古川

でも実際に行くには住所が必要。
今回は交番が店名から住所を教えてくれた。

インターネットでは、ドメイン名からIPアドレスを教えてくれる仕組みをDNSというんだ。

<strong>ユイ</strong>
ユイ

じゃあ焼き鳥屋さんがWebサーバーなんですね!

「100点。」


IT護身術「偽物の案内」に気をつけよう

歩きながらユイが質問した。

<strong>ユイ</strong>
ユイ

もし交番が間違った住所を教えたら?

古川さんは少し真面目な表情になる。

<strong>古川</strong>
古川

本当の焼き鳥屋じゃなく、悪い人が作った偽物のお店へ案内されたら危ないよね。

<strong>ユイ</strong>
ユイ

それってネットでもあるんですか?

<strong>古川</strong>
古川

あるよ!
DNSキャッシュポイズニングっていう攻撃なんだ。

IT護身術

  • 検索結果だけで信用しない
  • 公式サイト・公式SNSを確認する
  • 鍵マーク(HTTPS)も確認する
<strong>古川</strong>
古川

検索は入口。本当に信じるのは公式情報。


古川さん、どこ行くの?

交番を出ると古川さんは腕時計を見た。

<strong>古川</strong>
古川

じゃあ私はここで。

<strong>ユイ</strong>
ユイ

えっ、もう帰るんですか?

<strong>古川</strong>
古川

うん。帰り道だから。

そう言って、そそくさと細い路地へ消えていった。

本当にあった「帰り道」

ユイは通行人を路地三丁目まで案内した。

細い路地の奥。

赤い提灯が一つだけ灯っている。

暖簾には小さく書かれていた。

炭火焼鳥 帰り道

通行人は嬉しそうに店へ入っていく。

ユイも気になって、そっと暖簾の隙間から中をのぞいた。

そこには――

カウンターの一番奥。

焼き鳥を食べながらビールを飲んでいる古川さん。

<strong>ユイ</strong>
ユイ

ふ、古川さーーん!!

古川さんは振り向いて微笑む。

<strong>古川</strong>
古川

お疲れさま。

ちゃんと名前解決できたね。

その瞬間。

勢いよく暖簾が開いた。

<strong>大沢</strong>
大沢

古川くーん!!

俺も帰り道に来たぞー!

店主が笑いながら席を用意する。

店主「この店は、皆さん最初は迷うんですよ。」

三人はカウンターに並び、焼き鳥で乾杯した。


古川の技術解説

DNSとは?

DNS(Domain Name System) は、人が覚えやすい ドメイン名 を、コンピューターが通信で使う IPアドレス に変換する仕組みです。これを 名前解決 といいます。

商店街で覚えよう!

商店街IT用語
帰り道(店名)ドメイン名
交番DNSサーバー
路地3丁目12番IPアドレス
焼き鳥屋Webサーバー

ブラウザで papa-hetoheto.com を入力すると、最初にDNSがIPアドレスを調べ、その住所にあるWebサーバーへ接続しています。

DNSキャッシュポイズニングとは?

悪意のある人がDNSの住所録を書き換え、本物ではなく偽物のWebサイトへ誘導する攻撃です。

そのため、検索結果だけを信用せず、公式サイトを確認する習慣 が大切です。


今回のアナログ力 🌱

<strong>古川</strong>
古川

分からないときは、正しい案内人を探そう。

知ったふりをするより、信頼できる人や公式情報を確認する方が、ずっと早く目的地へたどり着けます。

これは商店街でも、仕事でも、インターネットでも同じです。


ユイからのクイズ!

問題

DNSの役割として正しいものはどれでしょう?

  • A. パスワードを暗号化する
  • B. ドメイン名をIPアドレスへ変換する
  • C. Wi-Fiの電波を強くする
  • D. メールを暗号化する

答え

<strong>ユイ</strong>
ユイ

正解は B!

DNSは「名前解決」を行う仕組みです。

人が覚えやすいドメイン名を、コンピューターが通信できるIPアドレスへ変換しています。


エピローグ 🍻

社長がビールを一口飲んで、自信満々に言った。

<strong>大沢</strong>
大沢

俺もDNS覚えたぞ!

ユイと古川が期待して見つめる。

<strong>大沢</strong>
大沢

D・どんな

N・名前の住所も

S・知っている!

一瞬、店内が静まり返る。

「社長、それじゃ交番ですね。」

<strong>ユイ</strong>
ユイ

試験勉強ではちゃんと Domain Name System って覚えます!

古川さんは焼き鳥を一本持ち上げ、静かに乾杯した。

<strong>古川</strong>
古川

それで合格

次回予告

📮 第5話「密書は、一瞬で届くのか?」

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