本記事は、筆者の実体験をもとに構成したフィクションです。登場する人物・会社名・団体名などは架空のものであり、実在の人物・企業・団体とは関係ありません。実際にあった出来事を分かりやすくお伝えするため、一部の内容や時系列、会話などを脚色しています。
【登場人物】

古川(ふるかわ):元SE。システムを「爆弾」と捉えるリアリスト。「己の役割に嘘をつかず、どんな面倒な作業も真摯に紐解く」という古風な流儀を胸に、日々技術と向き合う男。

ユイ:事務所の事務・広報担当。チョコミントを愛する現代っ子。効率重視のあまり、時々大きな落とし穴にハマる。

大沢(おおさわ):町工場の社長。社員思いで人情味あふれる一方、AIやDXなど最新技術が大好きで、勢いのまま導入を決めてしまうことも。失敗しても素直に反省し、社員の意見に耳を傾けられる“憎めない社長”
ビット&ピース :古川さんが運営するシステム会社。最新ITではなく、VB6で動く古いシステムや地域のPCトラブルを支える小さな会社です。20年前の仲間は時代の変化とともに去り、今は社長の古川さんと事務・広報担当のユイ、二人でこの事務所を守っています。
アナログ力を土台に、少しずつデジタル力を身につける物語
金曜日、午後6時。
株式会社ビット&ピース。
一週間の仕事が終わり、ユイは会社を出た。
夕暮れの商店街は、仕事帰りの人や買い物客で少しだけ賑やかになる。
コロッケ屋さんの匂い、八百屋のおじさんの声、そして遠くから漂う焼き鳥の香り。
「やっぱり金曜日っていいなぁ。」

やっと一週間終わった〜!今日は寄り道しないで帰ろっと♪
すると、一人の男性が声を掛けてきた。
「すみません、『帰り道』はどこですか?」
ユイは迷わず駅の方向を指さした。

駅ならこの道をまっすぐですよ!
男性は首を横に振る。
「いえ……焼き鳥屋さんの『帰り道』です。」
ユイはその場で固まった。

店の名前!?
地元に22年住んでいるのに、そんなお店は聞いたことがない。

ネットで調べれば分かる…はず?
ユイは慌ててスマホを取り出した。
「焼き鳥 帰り道」
しかし表示されたのは…。
- 閉業したお店
- 違う市のお店
- 5年前のブログ記事
どれが本当なのか分からない。

全部バラバラじゃん…。ネットなのに…。
そのとき。
「お疲れさま。」
古川さんが仕事帰りに現れた。

困りごとかな?
事情を聞いた古川は、スマホを閉じた。

検索は便利だけど、『誰が書いた情報か』も大事なんだよ。」

じゃあ、どうやって探せばいいんですか?

交番へ行こう。

えっ!? 検索サイトじゃなくて交番!?

交番が教えてくれた住所
二人は商店街の交番へ入った。
警察官は古い商店街の台帳を開く。
警察官「焼き鳥『帰り道』ですね。」、「路地三丁目12番です。」
通行人は安心したように笑った。
通行人「ありがとうございます!」
ユイは思わず声を上げる。

店名だけで住所が分かった!
古川は商店街の地図を指差した。
DNSって、インターネットの交番なんだ


人は『帰り道』という名前を覚えるよね。

はい!

でも実際に行くには住所が必要。
今回は交番が店名から住所を教えてくれた。
インターネットでは、ドメイン名からIPアドレスを教えてくれる仕組みをDNSというんだ。

じゃあ焼き鳥屋さんがWebサーバーなんですね!
「100点。」
IT護身術「偽物の案内」に気をつけよう
歩きながらユイが質問した。

もし交番が間違った住所を教えたら?
古川さんは少し真面目な表情になる。

本当の焼き鳥屋じゃなく、悪い人が作った偽物のお店へ案内されたら危ないよね。

それってネットでもあるんですか?

あるよ!
DNSキャッシュポイズニングっていう攻撃なんだ。

IT護身術
- 検索結果だけで信用しない
- 公式サイト・公式SNSを確認する
- 鍵マーク(HTTPS)も確認する

検索は入口。本当に信じるのは公式情報。
古川さん、どこ行くの?
交番を出ると古川さんは腕時計を見た。

じゃあ私はここで。

えっ、もう帰るんですか?

うん。帰り道だから。
そう言って、そそくさと細い路地へ消えていった。
本当にあった「帰り道」
ユイは通行人を路地三丁目まで案内した。
細い路地の奥。
赤い提灯が一つだけ灯っている。
暖簾には小さく書かれていた。
炭火焼鳥 帰り道

通行人は嬉しそうに店へ入っていく。
ユイも気になって、そっと暖簾の隙間から中をのぞいた。
そこには――
カウンターの一番奥。
焼き鳥を食べながらビールを飲んでいる古川さん。

ふ、古川さーーん!!
古川さんは振り向いて微笑む。

お疲れさま。
ちゃんと名前解決できたね。
その瞬間。
勢いよく暖簾が開いた。

古川くーん!!
俺も帰り道に来たぞー!
店主が笑いながら席を用意する。
店主「この店は、皆さん最初は迷うんですよ。」
三人はカウンターに並び、焼き鳥で乾杯した。
古川の技術解説
DNSとは?
DNS(Domain Name System) は、人が覚えやすい ドメイン名 を、コンピューターが通信で使う IPアドレス に変換する仕組みです。これを 名前解決 といいます。
商店街で覚えよう!
| 商店街 | IT用語 |
|---|---|
| 帰り道(店名) | ドメイン名 |
| 交番 | DNSサーバー |
| 路地3丁目12番 | IPアドレス |
| 焼き鳥屋 | Webサーバー |
ブラウザで papa-hetoheto.com を入力すると、最初にDNSがIPアドレスを調べ、その住所にあるWebサーバーへ接続しています。
DNSキャッシュポイズニングとは?
悪意のある人がDNSの住所録を書き換え、本物ではなく偽物のWebサイトへ誘導する攻撃です。
そのため、検索結果だけを信用せず、公式サイトを確認する習慣 が大切です。
今回のアナログ力 🌱

分からないときは、正しい案内人を探そう。
知ったふりをするより、信頼できる人や公式情報を確認する方が、ずっと早く目的地へたどり着けます。
これは商店街でも、仕事でも、インターネットでも同じです。
ユイからのクイズ!
問題

DNSの役割として正しいものはどれでしょう?
- A. パスワードを暗号化する
- B. ドメイン名をIPアドレスへ変換する
- C. Wi-Fiの電波を強くする
- D. メールを暗号化する
答え

正解は B!
DNSは「名前解決」を行う仕組みです。
人が覚えやすいドメイン名を、コンピューターが通信できるIPアドレスへ変換しています。
エピローグ 🍻
社長がビールを一口飲んで、自信満々に言った。

俺もDNS覚えたぞ!
ユイと古川が期待して見つめる。

D・どんな
N・名前の住所も
S・知っている!
一瞬、店内が静まり返る。
「社長、それじゃ交番ですね。」

試験勉強ではちゃんと Domain Name System って覚えます!
古川さんは焼き鳥を一本持ち上げ、静かに乾杯した。

それで合格
次回予告
📮 第5話「密書は、一瞬で届くのか?」

コメント